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非同期でHTML要素を取得する「async-query」

#Web開発#解説
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Web開発をしていると、動的に変化する属性を元にDOM要素を取得したい場面にしばしば出くわします。

そんなときに使えるライブラリーが見当たらなかったので、「async-query」というnpmライブラリを作りました。この記事では、その概要から特徴、使い方などを詳しく解説します。

async-queryとは

async-queryのnpmページ

「async-query」は、querySelector()querySelectorAll() の非同期版を提供するnpmライブラリです。動的に変更される属性を基に要素を取得したい場合、とくにブラウザー拡張機能を作成する際などに役立ちます。

実際に、私が開発しているShadowban Scannerという拡張機能の内部で使われています。

作った理由

Web開発において、DOM要素の属性が動的に変更されるというケースは珍しくありません。しかしながら、そのタイミングを完全にコントロールするのは難しい場合があります。とくに、ブラウザー拡張機能を開発する際には、属性の変更タイミングなどはサイト側に依存するため、コントロールできません。

こうした場合、querySelector()querySelectorAll() などの同期的なDOM要素取得関数を使うと、取得したい要素が取得できないという問題が発生します。

代わりに、setTimeout() などを使って一定時間待機するという方法がありますが、PCのスペックによっては待機時間が足りない場合もあります。また、高性能なPCでは必要以上に待ち時間が発生してしまうという問題もあります。

こうした課題を解決するために生まれたのが「async-query」です。

async-queryの特徴

「async-query」の大きな特徴は、非同期処理を用いてDOM要素を取得できる点にあります。これにより、ページのロード状況や動的なDOMの変更にも柔軟に対応できます。

基本的な使い方

まずは、基本的な使い方から紹介します。まずは、ライブラリーをプロジェクトにインストールします

Terminal window
npm install async-query

async-queryは次のようなコードで利用できます。

1
import { asyncQuerySelector, asyncQuerySelectorAll } from "async-query";
2
3
const element = await asyncQuerySelector("#my-element");
4
const elements = await asyncQuerySelectorAll(".my-elements");

これで、IDがmy-elementの要素や、クラスがmy-elementsの要素を非同期処理で取得できます。

応用的な使い方

さらに応用的な使い方として、asyncQuerySelector()asyncQuerySelectorAll()関数は次のシグネチャーを持ちます。

1
asyncQuerySelector(selectors: string, parentElement: Element | Document, timeoutMs: number): Promise<Element | null>
2
asyncQuerySelectorAll(selectors: string, parentElement: Element | Document, timeoutMs: number): Promise<NodeListOf<Element>>

セレクター、親要素、タイムアウト(ミリ秒)を指定することで、さらに精密な要素取得が可能です。

また、TypeScriptに対応しており、次のようにすることで戻り値の型を指定できます。

1
const element = await asyncQuerySelector<HTMLDivElement>("#my-element");

さらに、HTMLタグのみを指定した場合は、戻り値の型が自動的に絞り込まれます。

1
// HTMLDivElement | null
2
const element = await asyncQuerySelector("div");

その他

このライブラリーに関するバグの報告や機能の要望があれば、GitHubのissueやPull Requestへお願いします。

まとめ

この記事では、非同期でHTML要素を取得する「async-query」について解説しました。このライブラリーを使うことで、動的に変化する属性を元にDOM要素を取得できます。ぜひ、開発に役立ててみてください。

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